この時期の旬の魚と言えば、鮎が有名かと思います。全国の河川での釣りも5月下旬あたりから徐々に解禁されているようです。6月中旬以降はテレビ番組やスーパー、魚屋の店頭でも見かけるようになってきました。実際に買って食べるときにはシンプルに塩焼きにすることが多いのではないかと思います。塩焼きにして蓼酢で、というのはとても美味しいものです。ですが、焼き魚は骨が苦手という方も少なからずいらっしゃいます。そこで今回は、骨ごと美味しく食べられるようにお出ししていたレシピをご紹介いたします。
あゆの美味しさとは?
鮎の美味しさとは一体何なのか。
魯山人が天凛の香気と称して愛したのは、醤油やみりんで照り焼きなどにしては損なわれてしまう程の繊細な味わいとなめらかな身質でした。もちろんはらわたも欠かすことは出来ず、上品なほろ苦さと共に奏でるハーモニーこそが極上とされます。
鮎の香味の特徴
鮎は別名香魚と呼ばれます。体表面から発せられる成分によって、身がキュウリやスイカなどの瓜科の植物を思わせる香りがします。これが他の魚にはない独特の風味に繋がっています。海の魚とは違う、川の石に生えたケイ藻類を食べることによって生じる特有のにおい成分が原因となっています。ところが特徴的な香りと共に、海の魚にはない川魚特有の生臭さもあると言われています。
生臭さの解消の隠し味
鮎の生臭さの解消のために取り上げたのが、同じくこの時期を旬とする実山椒です。山椒はウナギなどのかば焼きにかけたりするイメージが強いかと思います。山椒はミカン科に属する植物で、香りは爽やかで鮮烈です。
柑橘類の皮を飼料として養殖することで生臭さを解消した魚として、ぶりやはまち、かんぱちは有名ですが、鮎もまた柑橘類を飼料として養殖することが研究されてきています。同じくミカン科の山椒との相性も決して悪いものではありません。
レシピ
調理のポイント
鮎の繊細な味わいを活かすために、醤油は薄口を少な目にして、臭みけしのために山椒を加えて煮込んでいます。鮎を一度蒸してから圧力鍋で煮込むことで、骨ごと頭から食べられるほどに柔らかくなっています。圧力鍋を使うことでより短時間の煮込み時間で柔らかくすることができるので、味付けが濃くなりすぎず鮎の味わいを損ないにくい点も利点です。
山椒の香りと日本酒の香りの相性
柑橘のような爽やかな香りを持つ日本酒というものがあります。吟醸香の一種で、吟醸香には他にもリンゴ様の香り、バナナ様あるいはメロン様の香り、マスカット様の香りなどがあります。ミカン科の山椒、ウリ科を思わせる香りをもつ鮎には、柑橘様やメロン様の香りを持つ日本酒はぴったりと寄り添ってくれることと思います。
鮎の塩焼きには淡泊な味わいに合わせてすっきりとドライな味わいのお酒が合うと思いますが、今回は醤油、みりんを加えて煮込んでいますので、もう少しふっくらとしたボリュームのあるお酒がいいかと思います。
【ペアリングのための論文解説】日本酒の果実の香りの多様化(カプロン酸エチル、酢酸イソアミル、4MMPとは?)
Keywords:日本酒、フルーティ、なぜ、カプロン酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸エチル、4MMP、3MH ; 日本酒の分類方法の1つとしてその香りのタイプによって分類する方法があります。日本酒というと、米から作られたお酒ということでお米の匂いなんじゃないの?と思う方も多いかもしれません…
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