スタッフの雇用をどうするか?
飲食店を開業するにあたり、スタッフの雇用をどうするかという点は一つの大きなポイントになります。
オーナー1人で、あるいは家族だけで切り盛りするお店なのか、社員やアルバイトを雇入れて運営していくお店なのか。お店の規模や売上高にも直結する部分なのでここはしっかりと考えていく必要があります。
よし、スタッフを雇入れよう!
いざスタッフを雇入れてやっていこう!という際、どのような手続きが必要となってくるのか。国が労働者を守るために決まり事を作っているので、これに従わなければなりません。この確認を怠ると後々色々と面倒になってきます。
国の定める雇用のルールは大きく分けて3つのカテゴリーに分けられます。
それぞれの担当役所の手続きがごちゃまぜの形で語られるので混乱しがちですが、それぞれに対する手続きは年に一回行うもの、月に一回行うもの、イレギュラーで行うものとがあります。それぞれの実際に必要な作業を整理して考えると思っていたよりもシンプルであることが分かります。
労務管理において実際に必要な作業
① 税金関係
・毎月の給与計算、源泉所得税の徴収
・毎月の給与支払い
・源泉徴収税の支払い(特例処置を選択すると半年に1回に変更可能→少人数の場合のみ)
・毎年12月に年末調整
② 労働基準監督署関係
・適切な労働管理(シフト調整)、タイムカード管理
・就業規則の策定
・法廷3帳簿の作成、保管、管理→社会保険、雇用保険の手続きにも必要
(1) 労働者名簿
(2) 賃金台帳
(3) 出勤簿
③ 社会保険関係
・社会保険の各種手続き(加入、脱退)
・源泉徴収にて社会保険料を控除
・社会保険料の納付(振替可)
・問題発生時(訴訟など)の対応
・休業補償、傷病手当、傷病手当金などの手続き
また、それぞれの業務のうち毎月定期的に行うものを、一般的な店舗業務と合わせてフローにしてみると以下のようになります。
(シフト作成は月に2回、給与支払いは末締め翌月15日払いの場合)
また、年間の業務のスケジュールは以下のようになります。
外注するとしたら?
これだけの仕事を店舗業務に加えてこなしていかなければならないことが分かりました。では外注するとしたらどういった方法があるのか、見ていきたいと思います。
①社労士
労務のことと言えば社労士を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。まさに労務のエキスパートといえる存在です。
・健康保険、雇用保険、厚生年金に関する手続き代行をする。
・就業規則の作成を行う。
・人材労務のコンサルティング、問題解決を請け負う。
・社労士は年末調整等の会計業務は行うことができず、社労士と契約した場合は社労士に加えて税理士or会計士との契約も必要になってくる。
②税理士・会計士
・従業員の年末調整を行う。
・月々の給与計算を行う。
・法人の確定申告を行う。
・税理士・会計士事務所の中には社労士を社内においている場合もあり、ワンストップでお願いできるケースもある。
③勤怠管理ソフト
近年増えているクラウド型の勤怠管理システムをタイムカードとして導入することで、データ連携によって手間なく毎日の出退勤と給与計算、年末調整業務などを連動させることができます。士業の方にお願いするよりも安価で済むこともあり、選択肢の一つとなってきています。
・月々の給与計算
・年末調整も対応可
私の出した結論
以上を踏まえて、私自身は以下のように結論を出しました。
このように判断した理由は以下の通りです。
・毎月シフトを組んだり、給与を計算することはこれまでも店舗業務として行ってきていることであり、今更わざわざ外注するほどのことではない。
・就業規則なども必要になった際に、一度作ってしまえばいいものである。(継続的に業務が発生するものではない)
・年末調整の時期である12月や、確定申告の時期である3月は飲食業においては繁忙期であることが多く、本業の業務で手一杯となってしまう可能性が高い。年末調整業務は労務の中でも一年で最重要な業務の一つであるので、多忙の中でも抜かりなく遂行するためにこの業務だけは外注する。
まとめ
私自身は、先行き不透明なスタートアップ時は可能な限り無駄な支出は抑えたい、という考えであるため上記のような結論に至りました。ですが、「私は雑務は一切できる方にお願いして自分自身は本業一本に集中したい!」という方などはもちろん外注された方がいいと思います。これはサッカーや野球などに例えると、守りの戦略と攻めの戦略の違いで、その人の得手不得手によっても変わってくるものであって、ご自身のやりやすい方法を取っていただくのが正解であると思います。
これから飲食業で独立しようという方、あるいは独立して軌道に乗ってきてそろそろ外注しようか考えてらっしゃる方に対して、「こういった作業があるなら外注しよう」「この程度の作業しかないなら自分でやろう」などのように参考程度にしていただければと思います。
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