【日本酒の話題】47年以上前の日本酒が出てきました。

2022/01/29

日本酒コラム

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正月には日本酒がよく似合う

皆様今年のお正月はいかがお過ごしになられましたでしょうか。

お正月は一年の中でも最も祝賀ムードに包まれる時期です。

中には朝昼からお酒を飲んでいた、なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。

お正月の空気には、そんな普段であれば躊躇されるようなことも受け入れてしまうような懐の深さを感じます。

お正月などのお祝いの席には日本酒がよく似合います。

「ハレ」の日、「ケ」の日

”晴れの舞台”という言葉があるように、「ハレ」と「ケ」という考え方が日本には伝統的にあると考えられています。

民俗学者の柳田国夫が伝統的な文化、風習から見出した考え方で、「ハレ=儀式や祭りなどの非日常」に対し「ケ=日頃の日常生活」という区別があるという世界観です。

そもそも酒や肉、魚といったぜいたく品は日常から消費されていたわけではありませんでした。

特別なお祝いの日に、赤飯や餅などと共に楽しまれるものでした。

昨今は豊かになり、以前よりも容易に肉も魚も酒も日常から消費できるようになりました。

「ハレ」と「ケ」の境目が曖昧になってきている、と言われたりもしています。

ですがこういった風習があったということは、日本に伝統的に根付いている日本酒が「ハレ」の日にふさわしいと感じる要因の一つでしょう。

大古酒、登場

今年、私がお正月にいただいたお酒のうちの一つがこちらです。

まさに「ハレ」の日にふさわしい、ちょっと珍しいお酒です。


実家の倉庫にしまい込まれていたお酒です。

「まさか日本酒だとは思っていなかった」とのことで長期間放置されていました。


「二級」という、1992年まで酒税法で使われていた級別の表記の日本酒です。

1990年からは品質本位の制度に変更をということで、現行の大吟醸や吟醸といった精米歩合に基づく分類体系に変更されました。

ボトリングされた年月を示す「製造年月日」は昭和60年(西暦1985年)11月となっています。

日本酒の製造年月日はそのお酒が醸造された年月日ではなく、瓶詰め(ボトリング)された年月日が記されます。

このお酒は瓶詰されて販売された1985年11月時点で12年熟成の古酒であったということです。

つまりは1973年(昭和48年)以前に醸造されたお酒ということが分かります。

いざ抜栓!ついでみる。


この色であります。

味わってみます。

【色】 カラメルを思わせるような、黒に近いほどの濃い茶褐色。

【香り】熟れたプルーン、バルサミコ酢、カラメルを思わせる香り。

【味】 最初のインパクトは強い、余韻は穏やか、甘みと酸味の強い味わい。

飲んだ感想としてはうまみが強く美味しい!とは思うものの、多くは飲めないかなといったお酒でした。

熟成によってアミノ酸のうまみ成分が多くなりインパクトが増している一方で、濃厚なうまみによって気軽な飲みやすさはありませんでした。

例えるならばコーヒーにおけるエスプレッソのようなものでしょうか。濃く強い味わいであるがゆえに、多くは飲みにくい。

そんな性格のお酒に仕上がっていました。

日本酒の賞味期限

ラベル表記に製造年月日こそあれ、賞味期限や消費期限が記されていないことで「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、これは古いから表記が違うわけではなく、貯蔵中にはがれてしまったわけでもありません。

日本酒やワイン、焼酎、ウィスキーのようなお酒には、食品衛生法において賞味期限の表示が必要とされていません。

一番想像しやすそうなワインを例にとって考えてみます。

ワインは赤や白、ブドウの品種、収穫年度、製造方法によってそれぞれのワインの飲み頃は大きく違います。

その違いは非常に大きく、数年~数十年の違いにもなります。

このような商品特性があるので一つのルールのもとで賞味期限の表示義務を課すことは極めて困難であり、起点である収穫年度を記す習わしとなっています。

まとめ

・日本には「ハレ」の日、「ケ」の日という概念があり、日本酒は伝統的に「ハレ」の日に飲まれてきた。

・1992年までは純米酒や大吟醸などではなく、特級、一級、二級という級別表示がされていた。

・日本酒の大古酒は濃厚なエスプレッソのような重く強い味わい。

・お酒に「飲み頃」はあっても「賞味期限」はない。

・眠っているお酒があれば、飲んでみると新たな発見や思わぬ出会いがあることもあります。(物によりますので、あくまで自己責任でお楽しみください。)

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