「豚の角煮」日本酒と合わせる酒場の本格レシピ

2021/06/08

おつまみレシピ

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いつもの家での食事も、ちょっと一工夫するだけでよりお酒にマッチする極上のおつまみに変身させることができます。お店でも実践しているそんなワンポイントのご紹介、今回のテーマは「豚の角煮」です。

豚の角煮に合わせたいお酒は?

豚の角煮はちょっと重めの料理です。前菜などで食べるというよりも、がっつりメインに食べることが多いのではないかと思います。あわせたいお酒としてはスカッとしたハイボールで口中をリフレッシュさせたり、重厚感や熟成感のある日本酒、紹興酒やワインなどで料理の味わいと寄り添わせたり、ということが考えられます。

お酒の重厚感や熟成感の正体は?

重厚感や熟成感のある日本酒や紹興酒に共通して感じられるニュアンスとして、ナッツや醤油、根菜類、ドライフルーツなどがあります。このうち香りの成分として、カラメル臭のする”フルフラール"や老酒臭のする"ソトロン"という物質があります。

フルフラールは”メイラード反応”という化学反応によって生成されます。醤油や味噌、あるいはステーキの美味しそうな焼き目などの「食欲をそそる香ばしさ」の原因は、メイラード反応によるものであると考えられています。メイラード反応は料理における、”おいしい香ばしさ”の源として注目されています。

ソトロンはお酒の熟成過程で生成され、貴腐ワインや長期熟成したシェリー、ポートワインなどでもみられます。量によって感じ方が変わることが分かっており、量が少ないと糖蜜やシロップのような香りに感じられますが、量が多くなると”老香”と呼ばれる劣化臭となります。またソトロンはフェヌグリークというカレーにも使われるスパイスの種の主成分でもあり、ソトロンの香りがスパイスを思わせる原因でもあります。

3つのちょい足しポイント

ポイント1

お酒の持つドライフルーツのニュアンスやカラメル感と合わせて、煮込む際にバルサミコ酢を加えます。肉類を煮込む際に柔らかく仕上げる為に酢を加えて煮込むことがありますが、そこにバルサミコ酢を使うことによって肉も柔らかく仕上がり、コクを加えることが出来ます。またバルサミコ酢はブドウを原料として熟成させたものですので、プルーンやレーズンを思わせるお酒の熟成感とも相性ばっちりです。

ポイント2

お酒の持つ根菜類のニュアンスと合わせて、煮込む際にささがきごぼうを加えて煮込みます。最近ではスーパーなどでも有機栽培のごぼうをささがきしたものが冷凍食品で出回っていますので、こういったもので十分です。和食では煮魚にもごぼうを加えることが多々あります。煮込む際にひとつかみ分加えるだけで格段に味わいが深くなります。

ポイント3

砂糖を加える代わりに煮込む際の水の半量をコーラに置き換え、味噌を少々加えます。お手軽にメイラード反応による美味しい香ばしさを取り込むとともに、味噌を加えることでより多層的で厚みのある味わいになります。またコーラは様々な果汁やスパイスを活用したものですので、ソトロンのスパイス様の香りとも相性が良くなります。

レシピ

材料

(4人前)
・豚バラ肉 500g
・ささがきごぼう 20g
・玉ねぎ みじん切り 1/2玉
・おろししょうが 15g
・味噌 大さじ1
・バルサミコ酢 大さじ2
★ 水    3
★ コーラ  3
★ 濃口醤油 1
★ みりん  1

調理手順

①豚バラ肉は表面を炙って水で下茹でする。(臭みけしにねぎの青い部分などを入れるとなおよい。)
②豚バラを圧力鍋に入れて水でひたして酒を若干加えて、高圧で20分加熱する。火から下ろし、減圧するまで待つ。
③具材と①の豚バラを鍋に入れ、★の煮汁を豚肉がヒタヒタになるように割合通り3:3:1:1で合わせる。
④圧力鍋で低圧で20分加熱し、余熱で20分ほど圧力が下がるまで火を入れる。(焦げ付かないように注意する)
⑤煮汁を好みの味の濃さに合わせて煮詰める。肉と共に盛り付ける。
注) 圧力鍋を使わない加熱方法もあります。その場合は時間配分や所要時間、手順が若干変更となります。お店では時短のために圧力鍋を使っています。

参考文献

磯谷 敦子・宇都宮 仁・岩田 博,清酒の熟成によるソトロンおよびフルフラールの変化,日本醸造協会誌,2004 年 99 巻 5 号 p. 374-380

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