【酒学講師が解説】日本酒の「火入れ」とは?【用語解説】

2021/08/27

日本酒講座

t f B! P L

 火入れとは

日本酒はアルコール発酵が目標まで達して搾られた後、「火入れ」と呼ばれる工程にて商品の安定化が図られます。

「火入れ」というのは加熱殺菌のことで、お酒に「火入れ」を施すことでまだ生きている酵母を失活させて貯蔵や流通時におけるお酒の変化が起こりにくいよう処理されます。

近年の「火入れ」のトレンド

近年はよりフレッシュな飲み口のお酒の需要が高まっている為、火入れの方法もよりフレッシュ感を残す方法にトレンドが模索されています。

加熱殺菌自体はお酒の温度を上げていけば(70度以上が目安と言われています)達成できるのですが、あまりに高温で処理してしまうとお酒の味わいを損なってしまいます。加熱殺菌を行うことができ、なおかつお酒のフレッシュな味わいを維持できるギリギリの温度と加熱時間の調整が大切なポイントとなっています。この為に、瓶に移し替えたお酒の加熱から冷却までを自動で行うことができるパストライザーという機械などが好まれて使われています。

現在は62℃~65℃に加熱して”火入れ”を行う蔵が多いように思います。

火入れに使われる”パストライザー”その冷却口

火入れのお酒は常温保存でOK?

フレッシュ感を残すために昨今の日本酒は「火入れ」が施されたお酒であっても、半生の状態で出荷されていると言えます。以前のお酒は火入れを施すことで酵母の失活と殺菌との両方を行っていました。しかし現在主流の日本酒は酵母の失活は達成しても、”火落ち菌”というお酒を腐らせる菌の殺菌までは達成しきれていないものが多くあります。”生詰””生貯””火入れ”と書いてあっても要冷蔵となっているお酒が多いのはこの為です。

昔は流通の現場にしても販売の現場にしても、冷蔵設備が行き届いておらず難しかったことが今では可能になっています。

この種のお酒を常温で保管してしまうと、最悪の場合は”火落ち菌”によってお酒が腐ってしまいます。健全な状態で保存したいのであれば、必ず冷蔵保存することをお勧めします。

「火入れ」によるお酒の分類

火入を行う回数、タイミングによって以下のように、生酒、生 貯蔵、生詰、火入と分類されます。



火入れによる分類と呼び名

このブログを検索

最新の投稿

QooQ