【日本酒の話題】Google サジェスト3番目「ひやおろしまずい」

2021/09/28

日本酒コラム

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ひやおろし、まずい

秋分の日を迎え、朝晩は肌寒く感じる日も増えてきました。秋の足音が近づいていることを実感する日々です。

秋というとお酒の世界ではひやおろしという日本酒の季節商品の時期となり、店頭や紙面を賑わせます。

話題になるのはいいことなのですが、世間の評判には、いい評判もあれば悪い評判もあります。

今回目についたのは悪い評判の方。「今年はどんなひやおろしがはやってるのかな〜」と何気なくGoogleで「ひやおろし」と検索ワードを打ち込むと上から3番目の目につきやすい場所に「ひやおろし まずい」のサジェストがありました。

それだけ多くの人が感じていることの表れなのでしょう。私自身は同意するわけではありませんが、そう捉えられる事には思い当たるフシがあります。

ひやおろしは美味しい、けれども万能ではない。

結論から言うと、ひやおろしをちゃんと美味しく飲んでいる人が少ないのではないか、と思います。

これにはひやおろしというお酒がどんなお酒であるかが影響してきます。

ひやおろしというのは、半年間熟成をさせたお酒です。冬に造られた新酒を秋まで熟成をさせることによって、旨味がのり味わいが丸くなるとして好まれています。

ひやおろしについてもっと詳しく↓

旨味がのり味わいが丸くなる、という現象について一歩深く考えてみましょう。旨味がのる、味が丸くなる、というのは具体的にどういう事なのか。

旨味というのは、味のコクや味の深さ、厚みを指して使われることが多いです。出汁やフォンドボーなどに代表されるアミノ酸由来であることが多いと思います。

アミノ酸以外に味のコクや深みに影響を与えるものとして、苦味や渋味があります。苦味や渋味というとネガティブなイメージがあると思います。ですが適量の苦味や渋味は味全体のコクを増し、深みを与えてくれます。推し味とも呼ばれ、カレーに隠し味としてコーヒーやチョコレートを加えたりするのは一般にもよく見られます。

ひやおろしの熟成期間にも、このアミノ酸の増加と苦み渋みの増加という両方の現象が見られます。ひやおろしのお酒は熟成期間中に苦味と渋味が増加しているのです。


苦味と渋味

苦味と渋味というものは、生物学的には体に毒性があるものの予兆もして捉えられます。子供の頃などは特に苦味や渋味に対する拒絶が大きく、体が受け付けにくくなっています。

苦味や渋味を感じるものは美味しくない、というのが基本的な前提としてあります。(年齢や経験に伴い変化していきます。)

ひやおろしをどのように飲んでいるか?

一般的には冷やして飲んでいる方が多いのではないかと思います。冷やして飲むとお酒の味はどのように感じられるでしょうか。冷やして飲むことにより甘みが抑えられ、苦味や渋味は強調されて感じられます。

普通の日本酒よりも苦味や渋味が増しているお酒を、より苦味や渋味を感じやすい温度で飲んでいることになります。これでは美味しいお酒も美味しく感じられないのは当然ではないでしょうか。


解決策

ひやおろしを飲む10分前に冷蔵庫からお酒を出しておくようにして下さい。瓶が結露して汗をかきはじめるくらいが目安です。大体お酒の温度にして12℃くらいでしょうか。そこからは実際に常温に戻っていくお酒を飲みながら、口に合う温度を探っていくのが楽しい飲み方だと思います。

値段が高く飲み口が重たい赤ワインは冷やして飲むと味がエグくなるので、常温で飲むと一般に認識されています。ひやおろしの日本酒も全く同じ理屈です。

もし、今年一度ひやおろしを飲んでみたものの美味しくないと感じた方がいらっしゃいましたら、是非飲み方を変えて再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • ひやおろしをまずいと感じるのは、美味しくない飲み方をしているケースも多いのではないか。
  • ひやおろしは熟成により、アミノ酸、苦味、渋味が増している。
  • 強い苦味、渋味は美味しくないサインとして受け取りやすい。
  • 苦味と渋みが強調されないように室温に近づけて飲むのがオススメです。

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